夏からはじめた・青い翼はきらい

031：防（由子)

作りかけ羊毛猫に似る縁のキジ太へ花冷え防ぐハウスを

030：失恋（由子)

わが失恋小説にして発表の場で聴く批評作者の顔で

029：公（由子)

「蒲公英のお酒」というもの伝え聞きホントに探していたのだレイよ

028：脈（由子)

脈動の土筆だ地域猫苑の猫らよ春を謳歌しようか

027：どうして（由子)

どうしても無音の読書出来ぬならラジオで流すひとのざわめき

026：向（由子)

飼い主の来るかもしれぬ方向きてフリーズしている捨て猫キジ太

025：膨（由子)

出会いより警戒の芽が膨らみぬ飼い主を待つ捨て猫キジ太

024：田舎（由子)

逃亡の田舎暮らしは出来ぬから真夜の床拭く開運のため

023：肘(由子)

反日は生活苦からも来るだろう肘つかみ睨むこのチャイニーズ

022：御 (由子)

病院へのみじかき距離も御桜が咲けばたのしき母との散歩

021：ハート(由子)

ハートフル装う春の宴らよ道をあけろと自転車を漕ぐ

020：含(由子)

含有量気にせず母と食べた夕ひとに疲れてホームを訪ね

019:幅(由子)

悲しみをある振幅に詠ませらせ繰りかえし見る凍夜の記憶

018：荷（由子）

母とふたりだったサクラも見れなくて春ごとに増す寂しさの負荷

017：誤解（由子）

誤解には嘘のやすらぎもたらしぬ今宵の闇で明日まで生きる

016：察（由子）

診察を待つ間母問うひとありて負い目尽きなきホームの母よ

015：盲（由子)

生きづらさ見えているのかココロ許す奴見極めろと盲目の僧

014：タワー(由子)

吉方位しらべ家探しよりさきにキャットタワーをせっかちは買う

013：伏（由子）

名優の大杉漣が引きこみぬ伏せられつづけたメルトダウンの日

012：卑（由子）

感染の入り口だろう　認証の卑近距離なるゲーム誘導

011：平（由子）

悲しみの耐性いよよ弱くなり平静よそおう後の過呼吸

010：容（由子）

許容量こえても生きるほかないね　「死ね」と言いくる妹ヨーよ

009：たまたま（由子）

たまたまが出会いに変わる寒の夜　駅舎　ひざ上　ノラ猫キジ太

008：製（由子）

非売品ゆえのやんちゃでアバレよう森のものらを妄想製作

007：厳（由子)

厳選の湯宿ほどではなき宿の座敷わらしを夢で見たらし

006：及（由子）

「追及の盾」歴然と断わりぬ　派遣・原発被災者対応

005：移（由子）

愛嬌をふりまくのちの移ろう目　ショップの子犬の旬は短く

004:相当（由子）

再生のポトフとあれば２個相当幸せキューブのレシピをさがす

写真はフリー素材を使用してます。

003：超（由子）

見切り品超熟サンドで祝おうか満身創痍のわたしの再建

002：欠（由子）

欠けかけがただ耐え難く編みすすむ春をたどりぬためのコットン